21巻
ドネークはデュルクに助けられたにも関わらず裏切りの機会を窺っており、イコルたちもイムリがカーマを鎮圧したらカーマに成り代わるのは自分達だと言って憚りません。どうなってしまうんだ…。
イコルたちの反乱が起こった今、ミューバは「最終決戦」と称してデュルクを情で引き込むつもりのようです。
22巻
ドネークに奴隷化させられたデュルク。ミューバはデュルクの「最後の夢」を見てしまいます。デュルクはずっとミューバを信じ心配しており、「イムリでもカーマでもない、ただミューバの片割れでよかったのに。ミューバだけは分かってくれると信じてたのに」と夢の中でつぶやいていました。
ミューバはそれを知って号泣。泣くくらいならなぜこんなことをしたのだとチムリに責められます。
一方カーマの城では、デュガロが檻から出されます。ミューバを殺すため、彼が城に戻れば凍らせる作戦を練ります。
23巻
ミューバたちは細心の注意を払って城へ戻ります。ガラナダの希望はミューバの未来。ガラナダはミューバを守ろうと必死です。
しかしカーマ兵に取り囲まれ、イムリたちは銃殺されます。ですがなぜかチムリだけが抗体を持っていないにも関わらず銃弾を跳ね返し、木の能力と種を使ってカーマ兵を皆殺しにします。
もしもの時のためにデュルクとミューバが入れ替わっていたおかげで、ミューバは一命を取り留めます。
ミューバの温情でガラナダは息を吹き返しますが、挙動がどうも不審です。どうやらミューバたちを氷漬けにしようとしているようです。
24巻
「選択肢が与えられなければただの服従です。服従などで民の心を殺めてはならない」という賢者の言葉が胸に深く突き刺さります。
「印の入っているイムリには命令ができない、抗体と同じ役割」というのは面白いですね。創りのイムリは最強なんだ…。
25巻
デュガロはイコルの代表と話しあいたい、ニコは労働力をカーマに提供したい等、民の意見そっちのけで話が進んでいくことに違和感を覚えます。カーマ側にもイムリ側にも和平に対する反対派は多いですね…。挙句の果てには、賢者の子を殺そうとするものまで出てきました。
「選択肢は財産なのです。カーマの民それぞれの特性が様々な選択肢を生みます。その多様な選択肢こそがカーマの未来を作っていくと私は信じます。あなた達ひとりひとりの選択がカーマ全ての財産となっていくのです」という賢者の言葉…素晴らしかったです。多様性がなぜ尊ばれるのかを言葉にしてくれてありがとう…。
「血が行いをさせるんじゃない、行いが血を作っていくんだ」は最後の最後まで繰り返される名言でしたね。
26巻
なぜ勝者の俺たちが我慢しなくちゃいけないんだと言うイムリたちに「勝者だから好きにしないんだ!勝者が何を要求するかでこの星は決まってしまう!」と反論するニコ、成長しましたね…。
ミューバはイムリ大陸を放浪中です。「目を開けて自分のやったことを見なくてはならない」とデュルクへの思いに涙しながら旅を続けるミューバ。
デュガロは寿命を迎え、ミューバに頭を下げます。デュガロのこれまでの言動を許すミューバに「なぜ私を許せるのだ」と泣くデュガロ。誰もが信じたい、信じられたい、愛したい、愛されたいともがきながらここまで来ましたね…。
「誰かが理想を掲げねば未来への可能性も得られない」と賢者が子供たちに諭す場面は胸が熱くなりました。これからのカーマとイムリは変わっていったらいいな。
もしかして奴隷化されたイムリたちは虫に治してもらえて、デュルクも心を取り戻せる…?と期待させるシーンで終わり。デュルクが復活するといいな…。
まとめ
連載期間は14年と途方もない長い時間をかけて練られたストーリー、心の細胞の一つ一つに染み込んでくるような愛と優しさと残酷さと強さに満ちたお話でした。
三宅乱丈さんは「ペット」が好きで、そのストーリーテラーっぷりに感動して「イムリ」を読み始めたのですが、こちらも本当に素晴らしかった。
「血が行いを決めるのではなく、行いが血を作っていく」や「誰かが理想を掲げねば未来への可能性も生まれない」は、ロシアがウクライナを侵攻し世界がWWⅢの恐怖に揺れる今だからこそ心により響きました。
なぜ人は人を支配したがるのか、なぜ自然と共生できないのか…生きる上で抱くあらゆる疑問への一つの答えがこの作品の中に詰まっていました。子供から大人まで、全ての人に読んでほしい名シリーズです。