「休職中、旅行に行ってもいいの?」「遊んでるって、後ろ指指されない?」
うつ病で休職中、不安になられる方も多いと思います。
結論を言います。
そんなの心配無用!あなたの好きなことを思いっきりすべきです!
今回は、うつ病で休職中に日本一周旅行をした私の体験談をご紹介します。
「休職中、何をしたらいいのか分からない」という方、「旅行をしたいけど、何だか不安」という方の参考になれば幸いです。
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最悪の抑うつ状態を脱し、うつ病の原因探求中に旅行へ
私は1年半の間、ひどい抑うつ状態で寝たきりでした。
日々「死にたい」と思いながらも、そう思う自分を責め、生きていることに絶望していました。
カーテンを締め切り、今が夜なのか朝なのかも分からないような暗闇でずっと息を殺して生活していました。
「早く、誰か私を殺してくれればいいのに」と願うばかりの毎日。
あの頃には、もう二度と戻りたくないです。
そんな暗黒の日々にいた私ですが、食事を摂ったり、散歩してみたり、人と話したりすることでリハビリして、どうにかカウンセリングに通えるようになったのが約1年前のこと。
2週間に1回、もしくは週に1回、自分の気分のいい時だけ、カウンセリングに通うようになりました。
カウンセリングでは、うつ病の原因を探るとともに、今後自分がどう生きていきたいのかを、先生に手伝ってもらいながら探求していました。
幼少期から今まで、いろんな出来事を、半年以上かけて先生と振り返りました。
泣きじゃくってしまって話にならない時もあったし、何も言葉が出てこない時もありました。
でも、そういう時もただ「あなたのペースで話せばいいのよ」と先生に背中をさすってもらい、ひたすら考えていました。
自分がなぜうつ病になったのか。
その原因は、何なのか。
私は、どうなりたいのか。どう生きたいのか。
私は、何者なのか。
考えていくうちに、私は、両親からの教育虐待のせいでうつ病になったとわかりました。
両親から「勉強ができない子は愛さない」と言われ、それ以外の自分を押し殺してきたんです。
なので、私は両親のYESマンであり、「自分がどうなりたいか、どうありたいか」を考えたことがありませんでした。
そこで、壁にぶち当たってしまったんです。
「私はどうなりたいのか。どうありたいのか。分からない。」「どう生きたら良いんだろう。」と、途方にくれてしまったんです。
これまでは、両親の言うとおりにばかりしていたけど、その通りに生きていると、私は心が悲鳴を上げて死んでしまう。
でも、私らしい生き方って何?何をすればいいの?
うつ病の原因が分かった!と開放された気持ちになったのもつかの間。
私は、急に人生の命題をつきつけられて、目の前が真っ暗になってしまいました。
何をすればいいのかわからない、でも、何か動いていたい。
動いていないと、何も見つからない気がする。
それは、昔から「怠惰な者は、愛される資格がない」と両親に言われていた呪いが原因の行動だったのかもしれません。
私は、唐突に旅行に出ようと思いました。
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両親の呪い。動いていないと、自分を許せなかった
旅行に出かけようと思い立った当時、私は陶芸に没頭していました。
起きている時間は、気が狂ったように習い事をするのに費やしていたんです。
それは、別にその習い事が好きだったからではありません。
とりあえず「目についたもの」に没頭したかっただけです。
没頭していること、それそれが自分のやるべきことだと思いたかったんです。
私は、目標の見つからない自分に焦りを抱いていました。
幼い頃から、いつも私は兄弟と比較されて育ちました。
「◯◯くん、◯◯ちゃんは学年で◯位の成績だったわよ!あなたももっと頑張りなさい」
そんな風に「学年◯位」とか、何かの目標に努力していると、家族はちやほやしてくれました。
「◯位を目指して頑張っているのね。えらいね」
そして、頑張ったポーズをしていれば、結果がついてこなくても、かばってもらえました。
「しかたないね。でも、頑張ってたもん。偉いよ。」
だからこそ、何か目標がほしい、頑張っているポーズをしたい、当時の私は無意識にそう思っていたんだと思います。
それが、習い事であり、旅だった。
自分探しのために、旅や習い事をして頑張っている。
そういう自分に酔っていました。
何かに没頭している自分に、どこか安心していたんです。
「大丈夫。私は頑張ってる。怠けてない。」って。
生きる目標、自分のやりたいことが見つからなくても、何かに没頭していれば気が紛れました。
私は頑張ってる、誰にも怒られない、って心の中で誰かに言い聞かせていました。
私が、怠けるのが、何より怖かったんです。
両親に怒鳴られそうで、同期において行かれそうで、周囲から自分が見放されそうで。
両親も、同期も、私が生み出した幻想なのに。
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旅をしながら、変わらない自分に絶望した。でも‥
激務ゆえにうつ病を発症した人は、まず最初に旅に出るといいます。
最初は、旅に出て、非日常を味わって、気分がよくなるんです。
まるで違う世界に自分ひとりが生きていて、現実のことをすっかり忘れられるから。
でも、みんな段々と旅の中に「現実」を見出すようになります。
「こんなことしていていいんだろうか」「私が旅をしている間に、同期や先輩は頑張っているのに」「置いていかれる」
ただ旅をしているだけでは、うつ病の解決にはなりません。
うつ病に立ち向かうという現実から目を背けて、逃げているだけだからです。
だから、私は旅をする日数が増えるごとに、どんどん苦しくなっていきました。
自分自身は何も変わらない。
なのに、旅をしていることに自己満足して、なんとなく成長したような気になっている。何かを達成したような気になっている。
それに、強烈な焦りと虚しさを感じ始めたんです。
旅をしていても、何も喜びに感じない。
私は一体何をしているんだろう。私は私を欺くために旅をしているだけだ。
旅をしながら、はっとそれに気づきました。
環境を変えても、内面を見つめなければ変わることはできない。
それに気づけたのは、旅のおかげかもしれません。
なので、一概に、旅は自己満足であり無意味だった、というわけのではないのかも。
自分が変わるためには経験ではなく、自分の内面を見つめなければならないと気づいてからは、旅の外側ではなく、内側に目を向けるようになりました。
つまり、旅で何をするか・誰に会うかなど外的なことに焦点を当てるのではなく、どこにいても自分の内面を見るようになったんです。
健常者は「旅=遊び」と決めつけるけど、違うんだよ
健常者は、自分がうつ病になったことがないし、うつ病になるような人の心理状態も分からないので、あれこれ好きなことを言います。
「うつ病のくせに旅行ができるなんて、本当は病気じゃないんじゃないの?」「仮病でしょ!」
でも、うつ病患者の方は、分かっていただけると思います。
今まで説明したように、旅に出るのも、結局は「何かをやらなくてはいけない」という仕事のような義務感から行動している場合もあります。
それに、うつ病という現実から目をそらしたくて逃げているということも考えられます。
なので、「旅行している=遊んでいる=心身ともに健康だ」とはいえないんですよね。
ただ、私はうつ病休職中にひたすら日本を一周して思ったことがあります。
最初は、自分が何かをしていないと気がすまなくて旅行していましたが、旅の中でいろんなものに触れて、そして、自分の心の動きをひたすら追えたのはとてもいい経験だったと思うんです。
だって、きっと旅行でもしなければ、代わり映えのしない日常を毎日なぞって、自分の心の動きなんて不思議に思ったり、いちいち動きを追おうなんて思わなかっただろうから。
非日常だからこそ、内面のこまかな動きを大事にできたように思います。
当たり前、といつもなら切り捨ててしまう心の反応を、
「ちょっと待って。今私はどうしてそう考えたの?」
と立ち止まって考える時間の、心の余裕ができたのは、すこし現実離れした、旅という世界の中だったからかもしれません。
うつ病患者は、他人の目線を気にするな
「うつ病患者が旅をする」。
たったそれだけのことを、多くの健常者は許しません。
でも、健常者も休めばいいじゃないか。そう思うんです。
誰かだけが得をすると、その他の人は僻みます。
休みをもらって旅行に行けることは、健常者にとっては「ずるい」と思うでしょう。
じゃあ、健常者も休職したり旅行に行ったらいいじゃないか。
うつ病患者をことさらに攻撃しなくっていいじゃないか。
いつもそう思うんですよね。
うつ病患者は、人の目を気にしがちなところがあります。お人好しが多いんです。
でも、休職中くらい、自分のことだけ考えてみませんか?
今まで、さんざん周りの人のために頑張ってきたんです。
あなたの心の声に耳を澄まして、やりたいことをやってみませんか?
結局、あなたの行動に文句を言いたい人は、何かしら理由をつけてあなたを責めるんです。
あなたの人生は、あなただけのものです。
誰のものでもありません。
休職期間は、人生のお休み期間。
自分を思いっきり甘やかして、旅行でも何でも、したいことを全力でやりましょう。