うつ病は遺伝する‥うつ病患者からすれば、これは絶望的な宣告かもしれません。
両親のどちらかがうつ病の場合、子供がうつ病になる確率は1.5~3倍と言われています。
今回は、2016年8月の米科学誌ネイチャー・ジェネティクスに掲載された論文を引用しながら「遺伝するうつ病の発症を抑えるには、どうしたらいいのか」をご紹介します。
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うつ病は脳疾患。子供への遺伝リスクは高い
うつ病患者自身もよく勘違いしているんですが、うつ病は気分の浮き沈みが激しいだけの精神疾患ではありません。
脳梗塞、脳卒中‥などと同じように、脳の病気なんです。
うつ病患者は、健常者と比べて脳の形に異常が見られます。
特に、前頭葉、小脳、大脳基底核の萎縮が共通所見として報告されています。
それらの異常がうつ病の発症にどのように影響しているかなどについてはまだわかっていません。
ですが、少なくとも、うつ病という病気は決して「気合い」などの精神論で治療できるものではないんです。うつ病は、脳の病気だから。
脳卒中や脳梗塞を患った親族がいる人は、同じ病気の発症率が20%以上増加すると言われています。
それと同様に、親子・兄弟の近い親族にうつ病の人がいると家族内で発症する確率は1.5~3倍です。
一卵性双生児の研究でも、片方が発症するともう片方が発症する確率は25~93%。
ここから分かるのは、うつ病という脳の病気は、遺伝的要因によるところが大きいということ。
では、うつ病の親族がいる人は、必ずしもうつ病に罹患しているでしょうか?
違いますよね。
では、うつ病を発症する人としない人の違いは、何なのでしょうか?
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うつ病は、遺伝+性格+環境要因が重なって、発症する
うつ病に関するさまざまな研究で分かっているのは、「うつ病の要因は3つある」ということ。
それは、遺伝要因、性格要因、環境要因の3つです。
うつ病は、非常につらい出来事が発症のきっかけになることが多いです。
これは、「環境要因」と呼ばれます。
大切な人(家族や親しい人)の死や離別、大切なものを失う(仕事や財産、健康なども含む)、人間関係のトラブル、家庭内のトラブル、職場や家庭での役割の変化(昇格、降格、結婚、妊娠など)などが例に挙げられます。
昇格や結婚、妊娠など、一見幸せそうに見える出来事でも、本人が精神的に負担を感じていれば、うつ病を発症するきっかけになるんです。
また、「性格要因」はある意味で「遺伝要因」と近いかもしれません。
義務感が強い、仕事熱心、完璧主義、凝り性、協調性が強い‥
そういった性格の人は、自分のことだけでなく他人のこともあれこれ思い悩みます。
それで心も体も疲弊してしまい、うつ病を発症する‥ということはよくあることです。
そして、「遺伝的要因」。
最初にご紹介したとおり、親族にうつ病患者がいる場合、その発症リスクは1.5〜3倍まで増加します。
うつ病は、これらの「遺伝」「性格」「環境」という3つの要因が重なり合って発症します。
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うつ病が発症・重症化する要因は、環境要因が多い。環境でうつ病は防げる
うつ病が発症・重症化する最大の要因は、上で挙げたうちのどれでしょう?
答えは、「環境要因」です。
環境要因でうつ病が重症化してしまう理由は、簡単に取り除くことができないからです。
例えば、昇級して仕事内容やチームメンバーが変わりストレスが溜まっている。
「仕事を投げ出すわけにはいかない」と一心不乱に働いていたら、ある日突然うつ病を発症した‥。
そういった場面は簡単に想像できるでしょう。
このように、ストレスを感じても、自分1人の力で環境を変えることは難しいです。
だからこそ、重症化してしまう。
でも逆に言えば、環境にさえ気をつければうつ病の発症・重症化は防げる可能性が高いんです。
うつ病患者、そして予備軍のみんな、まず環境を変えよう
うつ病患者や「ずっと鬱々とした気持ちが抜けない」という予備軍のあなた。
つらい、苦しいと思ったら、環境を変えましょう。
親族にうつ病発症者がいたり、完璧主義な性格なら、あなたはうつ病になりやすい土台が脳にあるんです。
うつ病は、ある意味「不治の病」です。
なぜ発症するのかは徐々に解明されてきていますが、今のところ、これと言った劇的な治療法はありません。
不治の病にかかる前に、予防しましょう。
環境を変えるのは難しいです。
でも、病を発症してからでは手遅れなんです。
うつ病を発症したら、あなたは毎日死にたいとしか思えなくなります。
今まで楽しかったことは全然楽しくなくなって、眠れなくなって、過食嘔吐をしたりして、「自分ではない自分」になってしまいます。
最悪の場合、そんな生活がつらくて、自ら命を絶ってしまうかもしれない。
そんな人生、イヤですよね?
自分にうつ病になりそうな素地があるなら、自分が一番のびのびと自由に過ごせる場所を選んで生きましょう。
それは決して、楽な道を選んでいる「逃げ」ではありません。
あなたが生きていくために必要な、「正しい戦略」です。
うつ病になりやすい人は、何でも我慢しがちです。
つらいと思ったら、苦しいと思ったら、すぐに逃げてください。
[voice icon=”https://namakerie.me/wp-content/uploads/2017/07/pose_namida_koraeru_woman.png” name=”あなた” type=”l”]でも、後先考えずに退職したら路頭に迷ってしまう…あなたは他人事だから逃げろなんて簡単に言えるんでしょ![/voice]
とあなたは思うかもしれませんが、大丈夫です。
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上の記事では、私が実際に退職後に手続きをした全ての公的補助制度について詳しく説明しています。
もしあなたが今「つらい」と感じていたら、逃げていいんです。
職場から逃げても、国が、あなた1人生きて、うつ病の治療ができるくらいは養ってくれます。
逃げるのには勇気が要ります。でも、苦しみを我慢し続けたら、いずれあなたには抗いようもないくらいの苦しみの波が襲ってきて、もしかしたら自殺したくなるかもしれません。
手遅れになる前に、今「逃げる勇気」を振り絞ってみませんか。