ワイスマン M.M.,マーコウィッツJ.C. ,クラーマンG.L.,水島広子「対人関係療法総合ガイド」の感想まとめ|IPT(対人関係療法)の正式マニュアル

うつ病

ワイスマン M.M.,マーコウィッツJ.C. ,クラーマンG.L.,水島広子「対人関係療法総合ガイド」を読みました!

登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨

登場人物とあらすじ

引用:対人関係療法総合ガイド | ワイスマン,M.M., クラーマン,G.L., マーコウィッツ,J.C., 水島 広子 |本 | 通販 | Amazon

<あらすじ>
本書は,“Comprehensive Guide to Interpersonal Psychotherapy”の全訳である。
2000年に米国で出版された原書は,現在,最も正式な対人関係療法(IPT)のマニュアルであり,1984年に出版されたオリジナル・マニュアル(邦訳は1997年に岩崎学術出版社から出版された「うつ病の対人関係療法」)を改訂したものである。
対人関係療法(IPT)は,現在では,エビデンスに基づく精神療法として認知行動療法(CBT)と双璧をなす治療法として国際的に知られており,米国精神医学会のうつ病治療ガイドラインなどにおいても有効な治療法として位置づけられているものである。

 

こんな人におすすめ

  • うつ病を闘病中だが、認知行動療法がうまくいかなかった
  • 摂食障害(拒食症または過食症)に苦しんでいる
  • 対人関係療法について詳しく知りたい

 

ネタバレ感想

前提:22年間にわたる過食症を治したくて

私は13歳から35歳の現在に至るまで、過食症を患っています。

25歳の時にうつ病を発症し、その時々で主治医に過食症についても相談してきたのですが、どの先生も「チューブ吐きは危ないからやめなさい」というアドバイスしかしてくれなかったり、「うつ病に摂食障害はつきものだから仕方ない」と匙を投げられたり…誰も過食症には真剣に向き合ってくれませんでした。

主治医を変えてもかれこれ10年以上もそんな調子ですから、私はすっかり「摂食障害は治らないんだ」「私は一生醜いデブのままなんだ」と悲嘆に暮れていました。

過食症が治らないと思うと余計に抑鬱状態が酷くなり、抗うつ剤を多く服用してしまったり、希死念慮が強くなって自傷してしまったりと、どんどん状況は悪化していくばかりでした。

 

過食症を治すには、対人関係療法が良いかもしれない?

誰にも助けてもらえないなら自分で探すしかないと、私は手当たり次第に過食症を治療する方法を探していました。

そんな中で、水島広子先生「拒食症・過食症を対人関係療法で治す」を読んで、「やっと過食症が治るかもしれない!」と一筋の光を見た気がしたのです。
どの精神科医も本気で私に向き合ってくれなかったけれど、この本だけが初めて私に向き合ってくれた!対人関係療法を実践すれば治るかもしれない!と。

 

対人関係療法(IPT)とは?

対人関係療法は、簡単にいうと、「拒食症・過食症は、患者とその人が重要だと思う他者との間のコミュニケーション不全によるストレスマーカーのようなもの」とし、「患者とその人にとって重要な他者との間で起こっている不和を取り除けば、自然と拒食症・過食症は治る」と言っています。

不和を取り除くためには、正しくコミュニケーションを取る必要があるのですが、拒食症・過食症患者はそのコミュニケーションが不得手なため、うまく相手に自分の要求を伝えられず、ストレスを過剰に溜め込み、結果的に拒食や過食といった自傷行動に走ってしまうというわけです。

つまり、拒食症・過食症を治すには、患者が重要な他者と、根気強く、自分の要求を正しく伝えられ、受け入れてもらえるように努力する必要があるというのです。

そのコミュニケーションの改善方法について詳しく知りたかったものの、具体的な方法が上述の書籍には書いていなかったので、このたび本書「対人関係療法総合ガイド」を購入したのでした。

 

「対人関係療法総合ガイド」は、過食症患者にどう役立ったか?

「対人関係療法総合ガイド」を読んでみて分かったのは、この本は医療従事者など過食症の治療者として長年経験がある人向けだということです。

また、対人関係療法には科学的根拠があり、うつ病にも摂食障害にも効果がある、こんなにたくさんの具体的な事例がある、と、それだけは本書でよく分かった(たくさん言及されていた)のですが、私が本当に知りたかった「具体的なコミュニケーション改善の方法・具体例」については、見つけられませんでした。

私は、自分が今誤ったコミュニケーション方法を取っているから過食症になったことは分かっていますが、どうしたら健全なコミュニケーションが取れるのかがわかりません。(分からないから過食症になったわけで…)
健全なコミュニケーションというのは、自分の気持ちを素直に話して相手に受け入れられることだ、というところまでは分かったのですが、でも相手が一向に自分の要求を受け入れてくれない場合はどうするの?と行き詰まってしまいました。
結局、今のところは、行き詰まったところで悩んでいるばかりで、「対人関係療法総合ガイド」は私の治療の助けにはなってくれていません。

 

「対人関係療法総合ガイド」は過食症患者が読むべきか?

読む必要はないと思います。

もし過食症患者(あなた)にとっての重要な他者が、精神科医とか心理療法士とかならプレゼントしてもいいかもしれませんが…。
読み終えた今、過食症患者にとって有益なことはさほど書かれていなかったと感じています。高い勉強代でした。

 

まとめ

過食症患者が、対人関係療法を治療者に求める場合、「治療者がどのような指針で治療を進めようとしているのか理解したい」と思うなら、本書を読んでみるのも良いかもしれません。

ただ、過食症患者である私が実際に読んでみて思うのは、具体的な治療内容が書かれていない(例しか載っていない)ので、患者が読んだところであまり意味はないということです。
治療者側が読めば有用なのかもしれないのですが、少なくとも患者に有益な本ではないと感じました。

対人関係療法総合ガイド
作者:ワイスマン,M.M., クラーマン,G.L., マーコウィッツ,J.C., 水島 広子
本書は,“Comprehensive Guide to Interpersonal Psychotherapy”の全訳である。2000年に米国で出版された原書は,現在,最も正式な対人関係療法(IPT)のマニュアルであり,1984年に出版されたオリジナル・マニュアル(邦訳は1997年に岩崎学術出版社から出版された『うつ病の対人関係療法』)を改訂したものである。対人関係療法(IPT)は,現在では,エビデンスに基づく精神療法として認知行動療法(CBT)と双璧をなす治療法として国際的に知られており,米国精神医学会のうつ病治療ガイドラインなどにおいても有効な治療法として位置づけられているものである。

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