山本さほ「この町ではひとり」を読みました!
登場人物とあらすじ、どんな人にオススメなのかなど、ネタバレ感想とともにがっつりご紹介します!☺️✨
登場人物とあらすじ
<あらすじ>
美大受験に失敗した山本さんは、自宅に引き籠もってゲーム三昧…ある日、ふと「このままの人生で良いのだろうか?」という不安が過ぎる。
そして山本さんは誰も自分のことを知らない町で、人生をリセットしようと決意する。
そこから始まる新たな人生は希望に溢れている!…そのはずだった…二度と戻りたくはない”あの一年”の記憶を、著者が特別な想いで描く!!
こんな人におすすめ
- 山本さほさんの作品が好き❤️
- 日常を淡々と綴ったエッセイ漫画が好き📕
- パワハラ、セクハラで苦しんだ経験がある
ネタバレ感想
パワハラ・セクハラの連続に胃がキリキリする
「あんたのために言っている」と大声でクレームをつけ、「本社に言っておく」と嘲笑して去っていく客。美人のパートが年下の主人公に嫉妬して職場の雰囲気が悪化する。いつもイライラしている社員。
本作を読みながら、私は6〜7年前に前職で経験したパワハラ・セクハラを思い出していました。
きっと一度職場で辛い経験をした人は、読みながら山本さんの苦しみ(職場でなるべく空気になろうとする努力、孤独)にかなり共感できると思います。
岡崎さんに癒される
時折登場する岡崎さんだけが、本作の癒しでした。
岡崎さんだけが山本さんを必要としてくれていて、山本さんを愛してくれている。
山本さんが過ごした神戸のとある町では、彼女はいつもいないように接され、本人自身もそうあろうと苦しんでいました。
山本さんの職場に岡崎さんのような人がいてくれたならと、読みながら辛かったです。
一皮剥けて強くなった山本さんに憧れる
最後に、山本さんは関東に戻りアパレルの接客業に就くのですが、そこではどんなクレーマーが来てもけろりとしている彼女が描かれています。
私はいまだに人の悪意が怖いし、いつまで経っても慣れません。
山本さんが「クレームで殺されることはないから」と思えるようになったのは確実に当時のつらい経験ゆえなので、私も彼女のように苦しみを糧にできたらと尊敬の気持ちを抱きました。
まとめ
パワハラ・セクハラに苦しんだ経験のある人は、ある意味で閲覧注意かもしれません。
当時の苦しみがフラッシュバックして辛くなるかもしれないし、逆に「私もそういうことあったな」と親近感を感じられるかもしれないし、反応は両極端になると思います。
ゆるいタッチで描かれているので、私の場合は胸に迫るような苦しみはありませんでした。山本さんというパワハラ・セクハラ被害者仲間ができたような心強さを感じました。
人生のリセットスイッチを押したいと思っている人、関東と関西の違いに苦しんだ経験のある人におすすめの一冊です。