職場、家庭、学校など、人間関係に悩まされる場面は多いものです。
でも、「人間関係の問題を解決する方法」を知っている人はほとんどいません。
今回は、米国の有名セラピストであるチャック・スペザーノ博士の著書「傷つくならば、それは「愛」ではない」を参考に、「人間関係の問題をラクに解決する思考法」を紹介しましょう。
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人間関係の問題は、勝負で解決できない
人間関係の問題は、スポーツなどのように勝負で解決できるものではありません。
ぐうの音もでないくらいコテンパンに相手をやっつけて、あなたは一瞬心がスカッとするかもしれません。
でも、似たような問題が何度も起こったとき、あなたは疲れ果ててしまうでしょう。
「また私は戦わなくちゃいけないの?」とうんざりするはずです。
「人間関係の問題が解決できた」という状態は、勝負が決まった状態ではありません。
おたがいが納得できる状態に落ち着き、その後、似たような状況が起こっても問題にならないような関係になれることが「人間関係の問題が解決できた状態」というのです。
つまりは、「お互いの妥協点を知る」ことが、人間関係の問題が解決された状態なんですね。
ではどうすれば、そんな状態を作り出せるのでしょうか。
人間関係の問題は、あなたvs相手ではなく、あなたvsあなた
「人間関係の問題」というと、あなたと誰かの関係で問題が起きていること…と、思いがちです。
でも、本当は違うんです。
表面上は、あなたと「誰か」が争っているように見えますが、実はあなたが「あなたの中の、あるモノ」と戦っているのです。
では、その「あるモノ」とは何なのでしょうか?
あなたは、あなた自身の常識と戦っている
人間関係で問題が起きているとき、実は、あなたはあなた自身の中の「あるモノ」と戦っているのだと言いました。
「あるモノ」とは、「あなたが思う、常識」です。
自分が「常識」だと思っていることって、人それぞれ、たくさんありますよね。
例えば、Aさんにとっては毎日洗濯するのが常識でも、Bさんにとっては何日分かためてから洗濯するのが常識とか。
どうでもいいことのように思えますが、実は、私たちの考える「常識」は、こういう小さな「習慣」や「クセ」が積み重なってできています。
人間関係で問題が起きているとき、あなたは、この「あなた自身の常識」と戦っているのです。
どういうことなのか、詳しくご説明しましょう。
あなたは、自分の常識を疑ったことがありますか。
普段、「私の常識っておかしいかも」と思うことは少ないでしょう。
でも、人間関係の問題が起きている時は、まさにその「自分の常識を疑う」ことが起こっている状態なんです。
常識を疑うというのは、とても不安なことです。
なぜなら、どんな小さな「常識」や「クセ」であっても、それはあなたの人生を作ってきた1ピースだから。
「自分の常識は違うかもしれない。他の可能性があるかもしれない。」と思うことは、ある意味で、自分の一部を否定することでもあります。
だからこそ、「自分の常識を疑わせるような状況を作り出したアイツが憎い!あんなのは常識なんかじゃない!私は正しい!私の常識、私の人生には何も間違いもない!」と思ってしまうんです。
表面上は、「あなたは誰かとのあいだで問題が起きている」ようですが、結局は、「あなたは相手にあなた自身の常識に問いを投げかけられ、あなたの常識(という名の固定観念)が新たな常識を受け入れられずもがいている」だけなのです。
なので、「私の常識とは違うけれど、あの人の常識も知ろう。受け入れよう。」と思った時から、ほとんどの人間関係の問題はかんたんに解決できるのです。
誰かへの憎しみや怒りは、自分の常識が抵抗している表れ
もし、誰かを許せなかったり、怒りがおさまらなかったりするなら、それはあなたの常識が、新しい常識に対して「許せない」「ムカつく」と思っているということです。
あなたの常識が、新たな常識を受け入れられずに抵抗しているのです。
そんな時は、「あなたは大丈夫だよ」「あなたを傷つけないよ」と、不安になっている、あなたの核をイメージしながら語りかけてみてください。
あなたの中にいる「常識」は、幼い子どもの形をしているかもしれません。
誰かに自分の考えを傷つけられたくない、自分の人生はダメだと否定されたくないと、泣きわめいて暴力的になっているのかもしれません。
あなたは、あなたの常識にやさしく語りかけてあげてください。
あなたの常識は、あなたのものです。
無理に他人の常識を受け入れる必要はありません。
あなたはただ、他人の常識を知ってあげればいいのです。
人間関係で自分が不快感を感じた時は、真っ先に、あなたの「核」をあやしてあげてください。
新しい常識を拒むほど、あなたの人生は疲弊する
あなたの常識は、あなたオリジナルのものです。
それゆえに、あなたと全く同じ常識感覚を持つ人はこの世に1人もいません。
ということは、あなたは生きている限り、常に誰かの常識と対立するということです。
あなたがもし「人間関係は勝ち負けで決まる」「自分の常識が正しい。他の常識は少しも受け入れる余地はない」と思うなら、あなたは死ぬまで誰かと戦い続けなければならず、ひたすら疲弊するだけの人生になってしまうでしょう。
でも、「互いに妥協点を見つけることが人間関係の解決だ」「自分の常識とは違うけれど、あの人の常識はそういうものなんだ。知ろう。」と思うなら、あなたは多くの常識ととけあえるので、衝突してイライラすることのない、穏やかな人生を送れるはずです。
これまで自分が知らなかった常識を知ることは、怖いです。
「この常識を知っていれば、自分はもっといい人生を送れたかもしれない」と思うと、怒りで誰かを殴りたくなるかもしれません。
でも、新しい常識を受け入れ、たがいに生きやすいポイントを見つけられた時、あなたはそれまでのあなたよりももっと生きやすくなっていることを感じるでしょう。