父の激しい暴力、期待‥そして抑うつ状態に:蓮さんインタビュー

うつ病

親はだれでも、自分の子供には立派に育ってほしいと思うものですよね。

でも、その愛情が重くきびしすぎて、子供をギチギチに縛ってしまっていることもあります。

今回は、親の過干渉が原因で抑うつ状態になり、休職(3ヶ月)→復職(3ヶ月)→退職された、蓮さん(24歳男性)のインタビューです。

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抑うつ状態になった発端は、「父からの虐待」

はじめまして、蓮です。地方在住の24歳男性です。

家族構成は、祖父、祖母、父、母、弟の6人家族。

実家は代々自営業の家系なのですが、父をピラミッドの頂点とした、かなり厳粛な家庭でした。
父は、趣味もなくずっと仕事一筋。

機嫌が悪ければ子供を殴る・蹴る‥という乱暴な人でしたね。

特に僕に対しては、「長男だから」「会社の跡継ぎだから」という理由で、与えられる暴力は特に激しかったです。

高校時代までずっとそんな生活だったので、当時は父に口答えなんてできませんでした。

父に何か言い返そうとすると、ぐうの音も出ないくらい詰められるんです。

「誰のおかげで生活できてんだ!!」って怒られるのが怖くて、言われるがままでしたね。

母についてですが、父、祖父、祖母は結束が強かったので、母は父に命令されるがまま大量の仕事をさせられていました。

なので、家庭内で僕を守ってくれる人はいなかったです。

僕は祖母・祖父・曽祖母に育てられたんですが、家での過ごし方はすべて父に命令されていました。

息苦しかったですね‥。

家では勉強していることが多く、テレビを見るなどの娯楽が全く許されませんでした。

それもあって、同級生の話についていけず、小中高大と孤立しがちだったように思います。

思えば、青年期までに父から受けた虐待が、僕に抑うつ状態を発症させる原因だったのでしょう。

[voice icon=”https://namakerie.me/wp-content/uploads/2016/10/woman04_cry.jpg” name=”私” type=”l”]私も両親から「勉強しない人間は無価値」としつけられたので、親に叱責される子どもの気持ちはよくわかります。

子供だって、親の期待はわかります。

でも、ただただ甘やかしてほしい時だってあります。

無条件に愛されることを知らないまま育った子は、「自分は努力しないと価値がない」「ありのままでは生きてはいけない」と自分を卑下しやすくなるんですよね。

なので、どんな親御さんも「自分の子どもは立派な大人にしたい」と思うでしょうが、あまり厳しくしつけすぎては自己肯定感の低い人に育つので要注意です。[/voice]

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親の紹介で就職。「必ず成果を出せ」と凄まれた

大学卒業後は、親の紹介してくれた会社に就職しました。

抑うつ状態になり休職したのは、この会社でのことです。

父からは「ここで修行して何年後かに家に戻ってこい」と言われていました。

また、「大学に行かせるのも、会社に就職させるのも、うちの会社が利益を上げるための投資だ。必ず成果を出せ」と強く言い聞かされていたことを覚えています。

父からいろんな言葉をかけられるたび、「彼は僕に期待しているんだな」とは思いました。

でも、父から言葉をかけられるたび、彼が僕にかける期待の大きさをまざまざと感じ、胸が押しつぶされそうな気持ちでした。

[voice icon=”https://namakerie.me/wp-content/uploads/2016/10/woman04_cry.jpg” name=”私” type=”l”]子どもが親に一番言ってほしいこと、それは「ありのままのあなたを愛している」ということです。

自分を、芸のできるペットくらいにしか思っていないんじゃないか‥そう思った途端、子どもは親に心を閉ざすようになります。

親へ、「私はあなたのペットじゃない」という怒り・「人を道具みたいに扱いやがって」という憎しみしか抱かないようになってしまうんです。

「あなたに期待してるのよ」と伝えたいなら、親は必ず「ありのままのあなたを愛している」ということも必ず伝えるべきです。[/voice]

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新卒2年目に倒れ、3ヶ月間の休職へ

新卒で入った会社は、今思えば変な会社でした。

右も左もわからない新人に大量の仕事を押し付け、量がさばききれずにクレームが来ると「こんなこともわからないのは人格がおかしい」と批判されたり。

「新卒でこんなに可愛がられないのはお前くらい」「なんで雇われたの?」など、罵詈雑言を浴びせられることも日常茶飯事でした。

そんな会社だったので、日に日に、仕事の疲れとストレスが溜まっていきました。

そのうち、急な予定変更に対応できなくなったり、複数の指示にうまく対応できなくなったりして、自分が何かおかしくなっていると気づき始めました。

職場・仕事への憂鬱さで、抑うつ状態になっているかも‥とは思いましたが、当時はそれが何かはわからなかったですね。

そして1年目の終わり頃、僕のあまりの疲弊ぶりを見かねてでしょうか、会社から「心療内科へ行きなさい」と命じられて病院へ行きました。

診断名は「広汎性発達障害」。

診断後は、カウンセリングや服薬もしました。

でも、通ううちに看護師や医師とそりが合わないと感じ、しばらくしてやめてしまいましたね。

親から「薬を飲むとおかしくなる!今すぐやめろ!」と命令されたのも理由です。

そして2年目の夏、僕は過労とストレスで業務中に倒れました。

会社の重役に電話で「自殺しようと思います。ありがとうございました。」と伝え、その後自殺しようと計画していたんですが‥。

「自殺は思いとどまってくれ」と説得され、休職させられることになりました。

休職期間は、残っていた有給2ヶ月分+1ヶ月の復帰期間(休職扱い)で、3ヶ月間ですね。

ただ、休職中も休むことはできなかったです。

親に「この期間で自信をつけて会社に戻れ!」と言われ、給料なしでひたすら父の同行をしていました。

「死にたい」「消えたい」という抑うつ状態になっていたこともあり、抵抗する等の考えは浮かびませんでした。

こういうものなんだな、と諦めていた感じです。

[voice icon=”https://namakerie.me/wp-content/uploads/2016/10/woman04_cry.jpg” name=”私” type=”l”]休職とは、字のごとく「職を休む」期間です。それを、「この期間で自信をつけて戻れ」とは、あまりにも乱暴すぎます。

自分の都合で子どもを振り回す親‥怒りしか湧きません。[/voice]

復職後3ヶ月で、退職へ

僕は休職中に、上司から「お前の仕事は全部引き継いであるから、気兼ねなく辞めていいぞ」と言われたことに腹が立っていました。

「お前の代わりはいくらでもいる」と暗に言われたようで、悔しかったんです。

それで、「意地でも戻って成果を出して、僕の存在を認めさせてやる」と思っていました。

復職して一生懸命仕事に取り組みました。ある程度の成果も出せた。

でも、僕が成果を出しても、誰も見向きもしてくれなかった。

もともと職場の全員から嫌われていた自覚がありましたが、成果を出しても、特に自分を嫌っていた人からの悪口がひどかったんですよね。

それで、自分はこの会社にいても仕方ないと感じました。

親から「辛かったらおかしくなる前に戻ってこい」と言われたこともあり、退職を決意しましたね。

それで結局、復職して約3ヶ月で会社を辞めることになります。

[voice icon=”https://namakerie.me/wp-content/uploads/2016/10/woman04_cry.jpg” name=”私” type=”l”]私は逆に、「私の代わりがいくらでもいるなら、早く辞めさせてくれよ」と辛かったです。

「君の代わりはいない」とパワハラした上司に言われることほど、恐ろしいことはなかったです。

「どうせあなたは私を虐めてストレス発散したいだけでしょう!近寄らないで!来ないで!」と、毎晩夢にみてはうなされていたことを思い出します。[/voice]

休職・復職してから、父に逆らえるようになった

退職後1ヶ月間は、ほぼ寝て暮らしていました。

それまで父の言うとおりに走り続けてきたけれど、プツンと緊張の糸が切れたんですよね。何のやる気も出ず、死んだようでした。

その後は、実家の会社に就職し、仕事を手伝っています。

ですが、最近不思議だと思うのが、仕事の方針をめぐって毎日のように父と喧嘩しているんです。

あんなに関係が悪かったのに、あんなに逆らえなかったのに。

父が弱ったのか、僕が成長したのかはわかりませんが、ようやく自分の人生で言いたいことが言えるようになりました。

病状は安定しているし、前の会社にいた時より確実にパフォーマンスは上がっています。

今は、こういう自営の仕事が楽しいと感じています。

父の跡を継いで、のんびり好きなように生きていきたいです。
[voice icon=”https://namakerie.me/wp-content/uploads/2016/10/woman04_cry.jpg” name=”私” type=”l”]蓮さんの場合は、1ヶ月ほど休まれたことで本来の自分を取り戻されたようですね。

私は、カウンセリングを受け続けてようやく、うつ病の根源である父と向かい合えました。

父に「あなたの教育方針が私をうつ病にしたんだ」と話した時は、恐怖で体が震えたことを思い出します。

いまだに私は父が怖いです。父と会えば、虐待されていた頃の自分に戻ってしまうんです。

なので、もう一生会わないと決めています。

私が幸せな人生を送るためには、父という支配者は必要ないから。

蓮さんのように、自分を支配していた人間に立ち向かうのは、かなり勇気がいることですね。[/voice]

抑うつ状態の程度もトラウマからの克服速度も、人それぞれ

蓮さんにインタビューして驚いたのは、「トラウマの克服の早さ」です。

蓮さんは今、過去に自分を支配していた父親と「対等に言い合う関係」になっています。

私自身も、父から「勉強しない人間は無価値」と厳しくしつけられていましたが、いまだに父の目を見て話すことができません。父の存在が、恐怖でしかないんです。

蓮さんは、父から虐待を受けながらも、ありのままの自分を愛する術をどこかで身につけていたのではないかと思います。

家族から虐待を受けた人は、ありのままの自分を愛することができない人が多いです。

なぜなら、一番近くにいる家族から「勉強しないと愛さない」など、努力しないとあなた自身には価値がないと洗脳されるから。

自分を愛せない人は、支配者に楯突くことはできません。

なぜなら、自分に自信がないから。

ありのままの自分を愛せる人は、自信があります。「私は私。あなたはあなた」と、対等な関係を築くことが出来るんです。

でも、ありのままの自分を愛せない人は、自信がない。なので、「力の強い、権力者であるあなたの方が偉い‥」と、自然とへりくだってしまうんです。

私は今、ありのままの自分を愛する練習中です。

私を含め、家族に虐げられて苦しんできた皆さん。

支配者と対等に話せる自信を身につけていきましょう。自分を、愛していきましょう。

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