ベルギーで連続テロ:欧州の難民問題は日本も無関係ではない

こんにちは、namakerie(@nashiko55555)です。

ベルギーのブリュッセル国際空港と、欧州連合(EU)施設に近いブリュッセルの地下鉄駅で2016年3月22日(火)、連続して爆発が起きました。ベルギーの地元メディアでは、死者が34人と報じています。日本人2人(生命保険協会の滝田祐さん、現地旅行代理店の日野実さん)も重軽傷を負いました。

ベルギーのミシェル首相は、この同時に発生した2つのテロは、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)によるものと声明を発表しています。現在、逃走した容疑者を確保した模様です。




ISによる爆破テロの対象となったベルギー、フランス

欧州での爆破テロと聞くと、去年11月に起こったパリ同時多発テロ事件が思い出されます。
このテロの首謀者はモロッコ系のベルギー人であり、自爆・射殺された犯人たちもそろってベルギー人でした。
そして、今月22日に発生した同時テロの現場、これもまたベルギーです。

なぜ欧州のテロ問題に、ベルギーが関わっているのでしょうか。



爆破テロが起こった2国に共通する、1つの問題

フランスとベルギー、この2国は「難民が多い」という共通点があります。
これら2国を「難民」という視点からみてみましょう。

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まず、ベルギーについて

  • 他言語国家である 
    ベルギーには「ベルギー語」がなく、北部はオランダ語、南部はフランス語を話す。
    言語が統一されていない国は、自由にその国の言語を話せない難民を受け入れる土壌があると言える。
  • 難民の失業率が高い
    難民を働かせるには、政府の認可が必要なため手間がかかる。そのため、雇用主は進んで雇うことはない。これにより、難民の失業率が高まり、難民が貧困にあえぐことになる。
  • 警察の連携が悪い
    国内で言語が統一されていないため、警察の連携が不十分である。
    テロが起こっても、対応がばらばらになりやすい。

特に、首都ブリュッセルのモレンベーク地区は、1万5000人/km2もの人が住む密集地域です。ここは、中東系の移民が住む貧困地区なのです。
ベルギーの平均的な人口密度は364人/km2なので、この地区だけが超密集地域であることがわかるでしょう。ここにテロリストたちが住み着いていたようです。

テロの活動資金は、ブリュッセルを車で30分ほど北上したところにあるアントワープ(日本では、「フランダースの犬」の舞台として有名)にて、中東で採掘したダイヤモンドなどを売りさばき蓄えていたようです。
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次に、フランスについて
フランスは「フランス語」という言語を持つ単一民族国家に見えますが、実は違います。

  • イスラム教の教義に反する法律を制定した
    そもそも、西欧諸国と中東の間には、長年の間「互いの宗教・文化を受け入れられない」という軋轢があります。この法律に加え、フランスはシリア難民支援の際、反テロの姿勢を示しながらも私利を混ぜ込んだ介入をしていました。
  • 難民の街がすでにある
    パリには移民街があります。アラブ人にいたっては、600~700万人もおり、これはフランス居住者の10%を占めています。ユダヤ、アラブ、アフリカ、インドなどのさまざまな人種がパリには地区を作って暮らしています。難民が集まりやすい土壌です。

つまり、2国の共通点は、「大きな難民街があった」ことでしょう。

この2国の他に「難民の割合が高い欧州の国」は、ドイツ、スウェーデン、イタリア、ハンガリー、オーストリアです。

移民数でいえばドイツ、スウェーデン、イタリア(と、フランス)が多いものの、人口に対する割合としてはスウェーデン、ハンガリー、オーストリアの3国が突出しています

 

「難民=テロを生む原因」か?

難民が多いほど、テロの危険性が高いわけではありません。

しかし、欧州経済の停滞・政治の混乱を見ると、
イスラム系の難民が多い国は就業率低下、貧困の蔓延、難民街がテロの温床へ、という一途をたどりやすいように思えます。

では、難民街ができる原因は何なのでしょうか。

 

難民にとって最高の3条件とは

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難民にとって、最高の3条件というものがあります。

  1. 多民族(他言語)国家であること
  2. 気候が良く、安定していること
  3. 難民手当が充実している(ひいては国の財政的が潤っている)こと

故郷を捨て他の国で暮らすのは、精神的にも金銭的にも負担がかかります。
だからこそ、その労力をはらってでも魅力的な土地に移住したいというのは全ての人が考えることです。

多民族国家であるフランス、気候の良いイタリア、難民手当の充実しているドイツ、スウェーデンなどに難民が集まるのは、当然の結果ともいえるのです。

しかし、オーストリアやハンガリーは多民族国家でもなく、気候も特別良いわけでも、難民手当が充実してもいません。

なぜ、オーストリアやハンガリーに難民が多いのでしょうか。

 

多すぎる難民が処理できず、諸国に難民問題が波及している

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オーストリアやハンガリーに難民が多いのは、行き場を失った難民たちが滞在しているからです。
難民たちは、ドイツやスウェーデンなどを目指し、中東の国々から避難してきました。
しかし、それらの国々はもう難民でいっぱいになり、受け入れられなくなっているのです。

従来、難民たちは、トルコ→ハンガリー→オーストリア→ドイツ・スウェーデンへと向かっていました。
これを、バルカンルートと呼びます。
バルカンルートの国々には、ドイツやスウェーデンに受け入れられず、あぶれた難民が多く滞在することになりました。

しかし、ハンガリーの総人口は990万人、オーストリアは830万人。
総人口8108万人という大国ドイツとは、国家規模が1/9~1/10ほども違います。
年間6000万人近い難民が国を通っていくとなると、交通機関にも政府機関にも、そして国民の生活にも支障が出てきます。

ハンガリーはこの難民問題を受け、2015年10月17日、セルビア・クロアチアとの国境を封鎖しました。
難民が入国することで起こるさまざまな社会問題を、回避しようとしたのです。

これによって、新バルカンルートができました。
ハンガリーを迂回してドイツを目指すルートです。
ギリシャ→マケドニア→セルビア→クロアチア→スロヴェニア→オーストリア→ドイツというルートです。

今後はこの新バルカンルートの国々が、難民問題に悩まされることになるでしょう。

ドイツもスウェーデンも、無尽蔵には難民を受け入れられません。
だからこそ、バルカンルートの中継地点である国々に難民が滞留するのです。

つまり、単一民族国家であり、気候的に悪く、難民手当が充実していない国であっても、
難民は受け入れなければならない可能性があるのです。

ひいては、テロの脅威にはいつでも晒される危険があるのです。

 

難民受け入れを要請されている、日本

つまり、難民が少ない=テロの脅威が少ない=治安が良い=安心できる のではないのです。

中東問題はひいては、欧州の問題です。なぜなら、中東と欧州は陸続きだからです。
欧州の経済・労働問題はもはや世界の経済・労働問題でもあります。

EU内で難民受け入れ数の割り当てが進んでいるように、いつ「日本にも難民割り当て」の要請がくるとも限りません。

その意味では、難民によるテロの脅威、治安の悪化は他人事ではありません。

日本の難民問題について言えば、日本の難民認定制度は「不透明」かつ「認定完了まで長期間を要し」ます
それゆえに、日本は先進国でも特に難民受け入れ数が少ない国です。
なんと、2015年度の難民受け入れ数はたったの11人でした。

ドイツは年間10万人の難民受け入れをしていることと比べると、圧倒的な少なさと言えるでしょう。

近い未来、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などに多額の資金援助(2015年度、日本はUNHCR加盟国第4位、UNHCR年間活動費1/7を占める170億円だけでなくシリア難民活動費として135億円も寄付しています)をするだけではなく、日本でも実際に難民を受け入れなければならなくなるでしょう。

そのとき、私たちは難民問題をどう考えるのか、テロへの脅威にどう立ち向かうのか。

まさに世界が難民問題で混沌とする今、考えなくてはならないのではないでしょうか。

 

この記事のまとめ

誤解を恐れず言えば「難民は、テロリストを生みやすい土壌を持っている」

欧州だけでは難民を抱えきれず、日本にも難民受け入れ要請が来るかもしれません。
難民問題のニュースをみたら、「いつでもテロが起こりうる日本」の姿を想像してください。

それは、あなたの妄想ではなく未来の日本の姿かもしれません。